幕末

十二の暗殺事件を描いた短編集。作者司馬遼太郎曰く、『桜田門外の変以外に、歴史に寄与した暗殺事件はなかった』。その理由がこの本を読むと良くわかる。とは言ってもそう言う考えの持ち主が書いた"小説"だから当然だが。
どの事件でも、名を上げたいという功名心・時流に乗る程度の感覚で確固たる信念がないにも関わらず狂信的な維新志士・250年間刷り込まれた身分制度の為か、身分の高い人間よりその周囲の人間を憎む思考等が透けて見えます。個人的なお勧めは『冷泉斬り』。手段と目的を混同している志士たちの行動が腹立たしいやらもの悲しいやら。